平均化訓練

平均化体操指導が成立する条件ーーーその究明こそが、平均化体操の理論化だったのである。

なぜそれを究明する必要があったのか。
簡単な話、時々、平均化体操指導がやりにくい人が出てくるからだ。
そういう時、自然と、この仕組みはなんだろう、どういう条件があるのだろう、と考える。

もう一つは、参加者からの質問だ。
「なぜこうなるのですか?どうすれば自分でもできますか?」
参加者にしてみれば、当たり前の質問である。答えようにも答えられない瞬間があった。

いくつかある条件の中で、最も重要なことの一つ。
そのことに気づいたのは、ある偶然の出来事だった。

平均化訓練を教え始めて数回目の講座の時である。
予約していはずの柔道場が、なんらかの手違いで取れていなかったのだ。それに気づいたのは当日、会場に到着した時だった。

申し込み制ではないので、参加者に連絡もできないし、会場がおさえられていなければ講座はできない。
私も、講座を手伝っているスタッフも、かなり焦っていた。

受付で相談すると、エアロビクスなどを行うフローリングの部屋なら一つだけ、空いていると言う。
フローリングか、、と思いつつ、私たちにチョイスはない。
小さい部屋だけれど、まあそんなに人も来ないでしょ、なんて思っていると、そういう時に限って参加者が多い、、、、

50人を超える参加者が、30畳ほどの部屋にびっしり集まった。

フローリングの部屋で指導するのは初めてだったが、なんとかなるさ、と思って、いつもの如く、とっても短い、説明とは言えないような説明をして、平均化体操指導を始める。

すると不思議なことに、いつもより簡単に平均化体操を誘導できるのだ。

私の手を押した瞬間に、相手の正座している膝がツルツルと滑って、あっという間に平均化状態になる。
だから、テンポよく、次から次へと体操指導ができるのだ。

足が滑るから、踏ん張ることができず、すぐに姿勢が崩れて、平均化体操が起こってくる。
目からウロコが落ちるとはこのことだ。

たしかに、体操指導がやりにくい人の状態を思い出せば、正座のまま踏ん張って姿勢を変えないのだ。
そして、姿勢がどうしても変わってしまうところまで、私に力を受け流されると、すっと力を抜く。
それ以上押すと姿勢が崩れてしまうからだ。

この体験で私は、平均化体操を行う上で、もっとも重要な条件がわかったのである。

それは、「力を出し続けながら、足を滑らせて姿勢を変えること」である。

つまり、押し合うことによって高まった体の緊張を、姿勢を変えることで体全体に分散させるのだ。
条件がわかると、そこで何が起きているかがわかり、こうして説明の言葉までが変わってくる。

今思えばこの時に、平均化体操を、指導ではなく「誰でも行えるやり方」のヴィジョンが、私の中でぼんやりと見えてきたのだと思う。

最後に、6年前のこの講座の模様を短い動画にしたので、ご覧いただきたい。

 

つづく