平均化訓練

書籍「平均化訓練」が春秋社より出版されており、訓練の実習と理論について詳しく紹介されています。

以下、書籍から一部抜粋します。

○はじめに

野生の動物たちは当たり前のように全身をくまなく使って動いています。
肩こりの猫もいないし、尻尾を引きずっている蛇もいない。

動物たちは持っている筋肉を十全に使いこなし、体の構造を活かしきって動いているのです。
それゆえにその動きは自然で美しい。

猫が自分の何倍もの高さのある塀の上に飛び上がるのは、驚異的な身体能力です。
しかし、猫は足腰を鍛えているわけではありません。

これは全身を連動させて動くことで生まれる、身体能力なのです。
だから動物たちは、ある部分に疲労が溜まることがなく、休む時は全身をすっかり休めています。
そして何より、野生の動物達は、何もしないで健康を保っています。

しかし、人間の運動には偏りがあります。
普段はあまり気づきませんが、時々肩が凝ったり腰が痛くなったりするのは、そこに疲労が溜まるからです。

全身を動かしているスポーツ選手でも時々、思いもよらない場所が痛んで故障したりします。
気づかないうちにその部分に余分な緊張が起きていて、それが積み上がり、疲労や怪我の原因になるのです。

本来、体の筋肉はつながり合っており、運動する時には筋肉が全て連動して、全身にくまなく力が流れている状態が自然なのです。
しかし、体のどこかにダムができていて、カの流れがある場所に堰き止められている。

その堰き止められているところに力が偏って、無意識に強い緊張を起こしていて、本来の連動性を遮断しているのです。

私たち人間もしなやかな全身運動ができるはずなのに、いつの間にか忘れてしまって、それを取り戻すには訓練が必要になっているのでしよう。

しかしその訓練もきっと楽しめるものですし、人間にしか味わえないプロセスがそこにあるように思います。